第8章 ローズとエリザベス
「そっちじゃない」
「えっ?では?」
エリスは首を傾げる。
「実際にクルーと会話してどうだった?
エリーでの感覚とは違ったんじゃないか?」
「そうですね…
皆さん親切で丁寧に接して下さいましたよ」
エリスはにっこり笑って答えた。
「まぁ美人は得って事だな…
じゃあ、一応結果を放送するか」
「みゃ~」
ローズが何かを訴える様にスコットのズボンの裾を引っ張った。
「ん?どこ行くんだ?」
ローズが立ち止まったのは艦長室に設置されているローズの寝床だった。
「みゃ~!」
「うっ…これは…」
「艦長、これは綺麗とは言えませんね」
「いや…、これは…だな…」
狼狽えるスコットにローズが寝床を整え始めた。
「ローズの方がしっかりしてますよ」
スコットは頭を掻きながらマイクを握った。
『艦長のスコットだ
エリスの判定の結果…
サボってたのは艦長室のスコットだ
艦長スコットには1ヶ月のトイレ掃除を命ずる
以上!』
「さすが艦長ですね
見事な判定でした」
「…嫌味か?
中身はしっかりエリーだな」
スコットは肩をすぼめた。
「みゃ~」
ローズがエリスの足元にじゃれついた。
「お前は世渡り上手だな」
スコットはローズの頭を撫でた。
それから1ヶ月、トイレは常にピカピカであった。