第7章 アルの憂鬱
「負傷者三名!
医療班、出動願います」
ロブは医療室に立ち寄り出動要請を出すと、格納庫に向かった。
「グレン!医療艇を出すぞ!」
「はい!準備出来てます!」
ロブは発進デッキに置かれている医療艇に乗り込み、医療班の準備が終わるのを待った。医療班が乗り込むと発進ゲートが開いた。
『医療艇、発進します』
グレンの操縦で医療艇が発進した。しかし、無線は繋がったままだ。
『なんや?まだこない離れてんのか?
アルは何やってんねん』
『副隊長、まだ無線繋がってますよ』
『あっ!ヤベッ…』
ブリッジ内にしっかりロブの愚痴が流れた。一瞬レスキュー艦は蛇行したが、すぐに軌道を戻した。
『こらっロブ!真面目にやれ!』
スコットが一喝する。
幸い負傷者は軽傷で、サブエンジンの故障も航行には支障がなかった。各員作業を終えて帰艦すると観光船は自力で航行していった。スコットは観光船を見送ると基地への帰還を指示した。
基地に戻るとアルがロブに食ってかかった。
「副艦長!自分はレスキュー隊員としてはまだ未熟ですが、操舵士としては何の落ち度もありません!
あんな言われ方は心外です!」
「遅いもんを遅い言うて何が悪いんや?
もっと迅速に動かさな、あかんやろ」
「この艦はそんな小回りは出来ません
だから小型艇があるんでしょ!
余計な事を言ってないで迅速に動かなきゃいけないのはあなたの方だ!」
ロブの反論にも動じなかった。