第6章 辺境の記憶
「副艦長、お疲れ様でした」
シェリーがロブにコーヒーを出した。ロブは受け取ると一口飲んだ。
「シェリーちゃんの入れたコーヒーは特に美味いわぁ」
「それよりロブ、何でこんな所に磁気嵐があったと思う?
恒星ベガからはだいぶ離れているぞ」
スコットはデレッとしているロブに指で持ち場に戻れと促した。
「さぁ…、でも日本のお伽話に恒星ベガと恒星アルタイルとの伝説があるっす
その伝説はこの二つの恒星が恋仲って事で無理矢理引き離されたって…
今でも引き合ってるんちゃいますか?
自分とシェリーちゃんみたいに…」
ロブはシェリーに向けてウィンクしたが、シェリーはあっさりとスルーしていた。それを見ていた他のクルーは苦笑いしている。
「…ったく、懲りない奴だな」
スコットは呆れて首を横に振った。
しばらくするとレスキュー艦はミュール港に到着する。
「よし、貨物船をドックに引き渡しすぞ」
貨物船はドックの牽引ビームに引かれ入港する。乗組員もミュール港で下船した。
「GalaxyAngelsは我々の命の恩人です
お世話になりました」
貨物船の船長は深々と頭を下げて下りていった。
「任務終了だ
アル、帰還するぞ」
アルはすぐに地球へ向けて出航した。
『スコットだ、手の空いてる者は食堂に集合しろ
みんなで焼き芋食べるぞ!』
この後、艦内で消臭騒ぎになったのは、司令部には報告されなかった。