第6章 辺境の記憶
貨物船ではケンを中心に修理が急がれている。磁気嵐の影響で船の電気系統は大ダメージを受けていた。
「ケン、どうだ?直りそうか?」
「ダメだダメだ!…ここまでイカれてると艦の部材じゃ足りねぇ!
どこか近くの港で修理しねぇと動かねぇぞ」
「そうか、うちの艦で港まで引っ張っていくから、修理はこの辺で切り上げろ」
スコットの号令で貨物船にいた整備士や隊員はレスキュー艦に引き上げた。
「アル、ここから一番近いドックのある港まで貨物船を牽引するぞ」
スコットはブリッジに戻るとすぐにレスキュー艦を発進させた。
「牽引モード最大船速で、ベガ星系ミュール港に向かいます」
アルは操縦桿を握り直した。
スコットが艦長席のローズを抱き抱えて腰を下ろすと、医療班から連絡が入った。
『貨物船の船員は全員異常無しです』
『分かった、ご苦労様』
「ミャ~」
スコットの返信にローズが応える様に鳴くとブリッジの雰囲気が和んだ。
「ふぅ…お前は気楽で良いな」
スコットはローズを床に降ろし放した。ローズはブリッジ側面の窓枠に飛び乗ると外を眺める様に座った。最近、お気に入りの場所だ。
「いやぁ、今回は疲れましたわぁ」
ロブがブリッジに戻ってきた。
「しかし、今回はロブとグレンのお手柄だな」
スコットがロブを褒めた。