第6章 辺境の記憶
「ロブ!アイン!グレン!無事か!?」
「隊長!みんな大丈夫っす!
しかし救助艇が…」
ロブが指差す先にはいびつに変形した救助艇が二機並んでいた。
「こんな強烈な磁気嵐は初めてっす」
「そうか…こいつらも頑張ってくれたんだな」
「隊長、この二機はもう使えないっす…
代わりの機体、どないしますか?」
ロブがスコットの横でお手上げとジェスチャーして見せた。
「とりあえず今ある作業艇で代用出来るだろう
…かと言ってないと困るから、エリカ司令に頼んでみる
それより、グレン!」
名指しされたグレンは怒られると思い、直立不動で敬礼している。
「勝手な事をして申し訳ありませんでした!」
「何言ってんだ?
お前のおかげで磁気嵐って事も分かったし、それにさすが元レーサーだな
小惑星帯を抜けて行ったあの操縦技術は大したもんだ
みんなに指導してやってくれ」
スコットの誉め言葉に目を丸くして呆然としているグレンにロブとアインから手痛い祝福が贈られた。
「あっ!グレン、焼き芋は食堂のおばちゃんに渡しとけ
一段落したらみんなで食べるからな」
「ラジャー!」
グレンは二人にもみくちゃにされながらも笑顔で大声を張り上げた。
スコットはその足でそのまま貨物船へ向かった。