第6章 辺境の記憶
『ロブ、アイン!
至急、目標に接続し中の状況を確認しろ』
『ラジャー!』
ロブとアインの救助艇が緊急発進していった。
「艦長、司令部から、目標はヴェガ星系に向かっている貨物船で三時間前から連絡が取れなくなっているそうです」
リンから報告が上がる。
「三時間程度なら乗員は大丈夫だろう…
後は船を引っ張り出すだけだが、対艦船用牽引ビームは磁気嵐の中では使えないか…」
スコットは腕組みして眉間にしわを寄せた。
『アイン、先行して目標の確認を頼む
俺はグレンを回収してから行く』
『ラジャー』
アインは目標の貨物船に向けて急いだ。ロブはグレンの小型艇と連結した。
『世話焼かすんやない』
『すいません!
…まさか磁気嵐とは思わなかったっす』
『このまま目標まで引っ張っていくから、焼き芋、大事に抱えてろ』
ロブは急ぎ目標に向かった。
先に貨物船にたどり着いたアインは交信を試みた。
『こちらレスキュー隊!
応答願います!』
『………』
貨物船からの応答はない。
アインは窓のある所に回り込み船内を覗き込んだ。貨物船のクルーは船内なのに宇宙服を着ている。
(もしかしたら空調システムがやられてるのかも…)
アインはロブに連絡を入れる。
『副隊長、空調がやられているかも知れません
すぐにここから脱出させないと危険です』
『俺ももうすぐ着く
ワイヤアンカーを打ち込める位置を探しておいてくれ』
アインは貨物船の周りを一周して、アンカーの位置を見定めた。