第6章 辺境の記憶
『グレン、出ます!』
グレンの小型艇が発進した。
グレンは元レーサー、操縦にかけては隊員一だ。ただお調子者で責任感に欠ける嫌いがある。
『グレン、不審な物を発見したら直ぐに報告するんや!
勝手に動くんやないで!』
『副隊長、大船に乗ったつもりで任せてくれ
パトロールなんてチョロイもんよ』
ロブはグレンの返事に頭を抱えた。
「あいつ、ホンマに大丈夫っすかね?」
スコットに向いて首を振る。
「お前だって新人の頃はあんな感じだったぞ」
スコットはニヤッと口角を上げた。
今回の任務は少し変わっていた。スミス司令官から直接の指示が来たのだ。
『スミスです
救難信号ではないのですが、正体不明の信号が発信されています
ただ、何かしらの緊急事態と言う可能性は捨てきれません
発信源は辺境の宙域なので確認をお願いします』
GalaxyAngelsは司令部からの情報を元に現場へ急行した。
「シェリー、レーダーに反応は?」
「…何もありません」
「メル、無線の応答は?」
「…ありません」
スコットは腕組みをして、眉間にシワを寄せた。
「先輩、グレンにパトロールをやらせてみますか?」
見兼ねたロブが提案をした。