第5章 バカンス気分で…
「いや~…自分…蛸…無理っす!」
ロブは踵を返した。しかしロブの足にはもう異星人の子供が絡み付いていた。
「おじちゃん遊ぼう!」
レスキュー隊員が装備しているヘッドセットには自動翻訳機がついており、約七万語の星系語を同時通訳してくれる優れものだ。
『こらぁ!ロブ!
この救助はお前に掛かってるんだ!
逃げるんじゃねぇ!』
スコットからの激が飛ぶ。
「そない殺生なぁ…」
その時には蛸が数匹…否、異星人の子供達がロブに群がっていた。
「ロブ!30分…いや20分なんとかしろ!その間に応急処置する!」
ケンが叫んだ。ケンの腕にも足にも子供達が絡み付き作業が出来ない状態だ。
「ケンさん…こっちもいっぱいいっぱいっすよ!
グレ~ン、手伝ってくれ!」
ロブは小型艇で待機しているグレンを呼んだ。
「!何すか!?これはっ!」
グレンが来たときには、数十人の蛸型星人の子供達が集まっていた。
「遊んで!遊んで!」
子供達はすぐにグレンにも絡み付いた。逃げ出すグレンを見てロブが閃いた。
「そうや…
よっしゃ!鬼ごっこや!
自分に捕まったら負けやで!」
ロブの言葉に子供達は一斉にその場からいなくなった。
「ケンさん!今のうちに修理したって…」
そう言い残すと、ロブは子供達を追いかけ始めた。