第4章 漂流船
もちろん、お見舞いに行きたいと言いたかったが、また断られるだろうと言い出せなかった。
我が儘言って困らせるわけにはいかない。
(入院中は週末にHPへメールを送るくらいにしておこう…)
俺は返事が無くても仕方ないと思っていた。
しかし“小夜子”からちゃんと返信されてきた。
検査がメインなので意外と歩き回れるようだった。
「病院って気温は丁度良いけど乾燥してるわね
髪がパサパサになっちゃう
ミストシャワーが欲しい~(笑)」
「贅沢言わないでちゃんと検査しないと退院出来ないですよ(笑)」
実際どんな検査をしてるのか、気になっていたが聞かなかった。
俺も昔入院したことがあり、あまり良い思いはしてないからだ。
(食事は美味くないし、楽な検査や治療もないし…)
結局、週末だけじゃなく週に二~三回はメールのやり取りが出来た。
返信はあったりなかったりだったが、“小夜子”との“繋がり”を感じていた。
しかし、入院して二週間が過ぎた頃から返信が無くなった。
俺は病状が悪化したのかと不安になったが、待つことしか出来ない自分が情けなくもどかしかった。