第4章 漂流船
スコットは医療室を出てブリッジに戻った。すぐにロブから報告を受ける。
「この宙域には脱出ポッドはなかったっす
他で救助された報告もないっすね」
「そうか…そうだろうな…」
スコットはロブの肩をポンと叩いて、艦長席に腰を降ろした。ロブはスコットの様子に首を傾げた。
「何がどないなってるんすか?」
ロブだけじゃなくブリッジの全員がスコットに注目した。
「エリー、データ解析は出来たか?」
「終ワリマシタ…
コノ船ハ、今カラ213年前ニ乗員乗客全員ガ脱出シ放棄サレテイマス
放棄ノ原因ハ酸素循環システムノ一時的ナ異常、現在ハ正常ニナッテイマス
放棄後、52年間システム停止ノタメ記録ガアリマセン」
ブリッジクルー全員がざわめいていた。
「なぜシステムが再起動したんだ?」
「データノ乱レカラ推測スルト、漂流中ニ磁気嵐ト遭遇シタ可能性ガ高イデスネ
再起動後スグニLWCガ起動シテイマスガ、座標設定ガ正常デハナイタメニ亜空間ヲ漂流シテイマシタ」
「亜空間を漂流するなんて事があるんや…」
ロブが呟いた。
「どうやって亜空間から抜け出たんだ?」
「亜空間内デシステムガ停止シタノデ解析不能デス」
スコットも誰も言葉が出なかった。その直後、思いもよらぬ事態が起こった。