第4章 漂流船
「この船の最後の運航データは200年も前だ」
スコットは改めてアインにデータを説明した。
「観光から戻る途中でデータが終わっている
何らかのアクシデントで船を放棄したんだろう
そして燃料が尽きるまで漂流した…
船のシステムは正常だった為に燃料切れによる救助信号が自動的に発信された…」
「し…、しかし200年も燃料が切れないなんておかしいですよ?」
アインの疑問にスコットも頷いた。
「おかしいのは燃料だけじゃない
さっきカークから食堂の食材は腐ってないと言われた…
普通なら有り得ない
…とりあえず、艦に戻るぞ」
スコットは運航データのコピーを取って、アインと共に艦に戻った。
スコットは艦に戻るとすぐにエリーを呼び出した。
「エリー、観光船のメインコンピュータに直接接続出来るか?」
「可能デス」
「漂流していた200年に何があったか調べてくれ」
「了解シマシタ」
スコットはブリッジに戻る前に医療室へ立ち寄った。
「カーク、今回の件どう思う?」
スコットの問いにカークは顎に手を当て、観光船でのデータを見比べ、暫し考えた。
「おかしな話しだが、200年前からいきなり現在に現れた…、としか考えられない」
カークは顎に手を当てたまま、首を傾げるしかなかった。