第4章 漂流船
観光船には人の気配はなかった。とは言え遺体もない。スコットは首を傾げながらブリッジに向かった。
『艦長、大気汚染の心配はない
これから食堂に向かい食料の検査をする』
カークからの報告が入いる。スコットは『頼む』と短く返し、ブリッジに入った。
(おかしい…
どこにも異常が見当たらない)
船の燃料は切れているが、他の全システムは正常で問題はなかった。
『隊長、船内くまなく調べましたが、誰一人いません
それに、脱出ポッドが全て射出されています』
アインの報告を聞き、スコットはすぐさまロブに確認を取った。
『ロブ、レーダーで脱出ポッドを捜せ!』
ロブに指示をすると、運航データを調べた。その運航データにスコットは驚愕した。
(有り得ないだろ…)
『レスキュー隊員は艦に戻れ
アイン、ブリッジに来てくれ』
通信を終えると、カークから食堂の状況が入る。
『食堂や食料に汚染の痕跡はない
食料も腐っていないが、保存期限が遥か昔に切れてる…
どうなっているんだ?』
スコットはカークにも艦へ戻る様に指示した。
「隊長、この船の乗員や乗客はどこに行ったんですかね?」
アインはブリッジに入る早々、首を傾げた。スコットはアインに運航データを見せると、アインは唖然として立ち尽くした。