第10章 スカーレットからの依頼
ローズは(ガブリ)エルを一瞥すると、仕込みに入った。
「何しに来たんだい?」
「ローズは相変わらず素っ気ないのね
…スカーレットに頼まれたのよ」
「スカーレットって、この前の魔導師か?」
俺は荷物をテーブルに置いてから確認した。
「そうよ…
そのスカーレットがね、銀の加工に必要な材料を調達してきて…ってね」
(ガブリ)エルは両手を広げて肩をすぼめて見せた。
「…やっぱりそのままじゃ使えないのか?
小僧、シャルルとティアナを連れて手伝ってやりな」
ローズは初めから分かっていたかの様に落ち着いている。
「…はぁ…仕方ないか」
俺はすぐに諦めたが、シャルルは訳が分からずオロオロしている。
「あ…あの…私は何を?」
「まぁ冒険者の依頼と似たようなもんだから、気楽に手伝ってくれ」
俺は簡単に説明してティアナの家に向かおうとした。
「ティアナならもうすぐ来るわよ
私が先にディアスにお願いしておいたから!」
さすがAランク冒険者だけはある。
準備に抜かりはない様だ。
「ちょっとぉ…何でこんな朝から私までっ!?」
ティアナは、かなり不機嫌な様子で現れた。
「ごめんねぇ、私一人じゃ手が足らないのよぉ」
こういう会話をしてると、とても凄腕冒険者には見えないんだけど…。
「あの方って男性?ですよね?」
シャルルが小声で聞いてきた。
「あれでも元騎士団員のAランク冒険者なんだぜ」
シャルルはびっくりした表情を見せる。
(これが普通の反応だよな)
とりあえず、この四人でスカーレットの依頼をする事になった。