第12章 必殺技と回復魔法
ソフィアは答えなかった。
余程の訳ありだな、これは…。
「…まあ、相手が誰かはともかく、何か手掛かりはあるのか?」
「ランボール帝国に行くとだけ…」
ソフィアはか細い声で答えた。
「帝国って、あそこは戦争後どの門も封鎖されて余程の事がないと入れないわよ」
「そんなぁ!………」
ティアナの言葉にソフィアは驚いた。
「…だから俺たちも冒険者のランクを上げて潜り込もうと…」
「それ!私も連れて行って下さい!」
俺の独り言にソフィアが食い付いた。
「えっ?…いや、それはちょっと…」
「どうか、お願いします!」
そんなに頭を下げられても困る。
「私達が帝国に行けるのは、いつになるか分からないのよ
まだ、Dランクなんだから…」
ティアナがこっちの事情を話した。
「…だったら私も冒険者になります!」
「いや、それは……、あっ!
…もしかしてだけど、ソフィアって回復魔法は使える?」
俺は期待を込めて尋ねた。
「回復魔法ですか?神官だったので一通りは…」
「じゃあ決まりだ!
俺達とランボール帝国を目指そう!」
ティアナは呆れていたが、俺はソフィアと握手を交わし回復要員を仲間に出来た。
俺達は馬車でグランロールスに戻り、ソフィアの冒険者登録をするため冒険者事務所に寄った。
登録したばかりだからEランクだが、シャルルも同じだし、俺達もまだDランクなんだから一緒にランク上げしていけばいい。
「…ところでソフィアはここで暮らす当てはあるの?」
ソフィアは首を横に振る。
「じゃあ、良いところを紹介するわ」
ティアナはソフィアをローズに売り渡す気だ。