第9章 シャルルの決意
「ババァ!喧嘩売ってんのか!?」
ダットンが声を荒げる。
シャルルは耳を下げてオロオロしていた。
「シャルルのじいさんに世話になったんなら、もっと呑みな」
ローズはダットンの目の前にビールジョッキを差し出した。
シャルルのじいさんをダシに呑ませる作戦の様だ。
「呑むのか?呑まんのか?」
「呑むに決まってるっ!」
ダットンは機嫌を直し呑み出した。
「嬢ちゃん、シンバは元気にしてるのか?」
「祖父は三年前に亡くなりました…」
「そうか…、先に逝ったか…
シンバのお陰で今の俺がある様なもんじゃ」
ダットンはジョッキを一気に空けるとシンバとの思い出を話し出した。
ダイムランドに着いたダットンは、すぐに職人の所に向かった。
「頼む!ここで修行をさせてくれ!」
ダットンは深々と頭を下げた。
しかし、どの職人も首を横に振るだけだった。
ウサ人種ではないダットンは、ほとんど相手にもしてもらえなかったそうだ。
気落ちしたダットンは町の中央にある広場で途方に暮れていた。
「貴方ですか?この町で修行したいって言うのは?」
一人のウサ人種が声をかけてきた。
「…そうだが、あんたは?」
「私はシンバと言います
この町で商売をしている者です」
「…悪いが商人に用はない」
「そう言わず、私の話を聞いてみませんか?」
これがダットンとシンバの出会いだった。