第9章 シャルルの決意
今夜もローズの店は大賑わいだ。
ローズはマヨネーズの料理を、俺はお好み焼きを死ぬほど焼いて、ティアナとシャルルは店内を駆け回る。
「ビールおかわりだ!」
ダットンのじいさんが大声をあげる。
「はい!ただいま!」
シャルルが返事をした。
「ん?ウサ人種が何でいるんだ?」
ダットンはカウンター越しでローズに聞いた。
「ふん、小僧が連れてきたんだ」
「ほう、猫坊主もすみに置けないな」
(何か俺がナンパしたきたみたいに言われてないか?)
「お待ちどお様♪」
シャルルがビールを運ぶと、ダットンが引き留めた。
「嬢ちゃん、ダイムランドから来たのか?」
ダイムランドとは、ウサ人種の町でも一番古い歴史ある町と云われている。
「はい、そうですけど…」
「じゃあ、シンバって知ってるか?」
ダットンはウサ人種に知り合いがいるらしい。
「私の祖父を知ってるんですか!?」
「何!?嬢ちゃんシンバの孫なのか!?」
二人とも同時に驚いていた。
ダットンは鍛治の修行であっちこっち歩き回っていた時にダイムランドにも立ち寄ったらしい。
「ウサ人種には特殊な装飾を施す技術があってな、それを教えて貰おうと訪ねたんじゃが…」
結果はあっさり断られたそうだ。
「すいません、すいません」
シャルルが何度も頭を下げた。
「嬢ちゃんが謝るこっちゃないよ
そん時に助けてくれたのがシンバなんじゃ…」
どうやらシャルルの祖父はダットンの恩人の様だ。
「どうせ、迷惑かけまくったんじゃろ?」
ローズが魚を揚げながら茶々をいれた。