第8章 港町フォードス
ちょっと凹みながらフォードスの町中を歩く。
「…猫左衛門さん、どうしたんですか?」
シャルルが心配そうに見上げている。
「…いや、何か足手まといだな…俺って…
この先、冒険者としてやっていけるのか…?」
剣もダメ、魔法も使えない、地理も分からない…。
役立たずとは、こう言う事だ。
「初めは誰でも分かんない事だらけよ
でも、何だかんだ言って、ちゃんと依頼をこなしてるんだから立派な冒険者よ」
「そうですよ
冒険者は経験が大事だと言います
これから、がんばりましょう!」
年下の二人に励まされて情けないのだが、少しやる気が出て来た。
「…そうだな、凹んでばかりもいられない!」
考えてみれば、この世界に来たばかりなんだから、バイトで言えば研修中みたいなもんだ。
(ティアナやシャルルは年下と言ってもこの世界では先輩、いろいろ教わって足手まといにならないようにしないと本当の役立たずになっちまう…)
「それじゃあ、グランロールスに戻るか…
って、お二人さんどこへ…?」
ティアナとシャルルは別の方へ歩き出していた。
「せっかくフォードスへ来たんだから、美味しい物食べないとね」
「はい、ここのシーフード料理は絶品ですから!」
すっかり意気投合している二人を追いかけた。