第1章 異世界は唐突に!
「小僧、仮にも獣人なんだから力は人間より遥かに強い
そんくらいで寝言言ってんじゃないよ!」
確かに思ったより軽い。
「本当だ!こんだけ持ってるのに全然平気だ」
これが獣人の力なのか。
「獣人っていうのは、人間より身体能力が高いだけじゃなく、種族毎に特殊な能力を持ってる
小僧は猫だから、俊敏さや夜目だな
覚えておきな」
「はぁ、でも料理にはあまり役に立ちそうもないっすね」
「ふん、そのうち嫌でも使うことになるさ」
ローズは意味あり気な言葉を残し、次の店に向かった。
買い物を終えて店に戻ると、ローズはすぐに仕込みに入った。
「小僧は街でも見学してな」
そう言われて俺は店を出された。
「猫左衛門さん
私が案内しますよ」
声のした方を見ると、市場で会ったティアナがいた。
「ティアナさん?何で?」
「さっきローズに頼まれたのよ
猫左衛門さん、この街初めてなんでしょ?」
この街と言うより、この世界なんだけどね…。
「ありがとうです
それと、さん付けはしなくていいっすよ」
「じゃあ、私もティアナで構わないわ
さぁ行きましょ」
ティアナは長い赤毛をポニーテールにし、ちょっと日焼けした小麦色の肌と明るいブルーの瞳が素敵な女性で、言われなければ猟師には見えなかった。