第8章 港町フォードス
漁場に近付くと船を泊めて干潮になるのを待つ。
潮が引き出すと浅瀬に魚が取り残される。
それをバトルシザースが狙って上がって来るのだが…。
「何じゃこりゃあぁぁ!」
あっという間におびただしい数の蟹が浅瀬に上がって来た。
その数、数千…いや数万はいるんじゃないか?
船にいた冒険者も一斉に浅瀬へ飛び降り、蟹と戦闘を始めた。
「ほら猫左衛門、行くわよ!」
ティアナに引っ張られ浅瀬に飛び降りる。
ティアナに剣を借りて蟹に切り付けるが、硬い甲羅に跳ね返される。
蟹は餌を食べるのに必死で、こっちに攻撃をしては来ない。
ただ、マグロの様なデカい魚でも一刀両断するハサミの切れ味は恐ろしい。
「こんな硬い甲羅、どうすりゃあ良いんだ!?」
他の冒険者も苦戦しているようだ。
「猫左衛門、ちゃんと倒してよ!」
「無理言うな!
この甲羅、斬れねぇぞ!」
ティアナの矢も、俺の剣も硬い甲羅に歯が立たない。
「あの~私に考えがあります」
シャルルが何か思い付いた様だ。
シャルルの指示に従って、蟹の餌である魚を一カ所に集める。
…と言っても、魚目掛けて蟹が突進してくるので、魚を集めるのも命懸けだ。
魚を集めれば蟹も一斉に集まってくる。
「これでどうするんだ?」
俺は首を捻りながらシャルルの様子を見守った。