第1章 異世界は唐突に!
老婆の言葉にテンションが上がった。
「お婆さん!良いんですか!?」
思わず抱き着きたくなるほどだ。
ガンッ!
また頭に激痛が…。
「誰が婆さんだっ!
あたしゃまだ87だよ!
それにローズってちゃんとした名前があるんだ!あんたは!?」
またフライパンの洗礼を受けてしまった。
しかし、まだ87歳って…。
「お、俺は、いぬ…」
待てよ、この姿で本名って変だよな…。
「なんだい?名前もないかい?」
「あっいや…、猫…、猫左衛門っす」
咄嗟に『猫左衛門』と名乗ってしまった。
猫の姿した侍だから…。
「ネコザエモン?
服と同じで変わった名前だねぇ…
ところで、あんた料理出来るかい?」
「…料理?
自炊もしてたけど、炒め物くらいの簡単なやつなら…」
まさか、店で俺の料理を出す気じゃないよな。
「ふん、明日から働いてもらうからしっかり覚えな」
老婆…いやローズは何か嬉しそうな顔をしていた。
「ところで、おば…ローズさん、ここってどんな世界なんですか?」
「堅苦しいからローズで良いよ
このグランロールス王国はロイス国王が治める三大国の一つさ…」
ローズの話しによれば、この国の他にランボール帝国とポルポル共和国の大国と、いくつかの中小の国々があるそうだ。
大昔はランボール帝国との戦争もあったそうだが、今は表立って争ってはいないらしい。