第1章 異世界は唐突に!
「なんだい?ここがグランロールス王国って事も知らないのかい?」
「グランロールス?
が、外国?
え~と、マイ…マイ・ネーム・イズ・タカア…」
ヤバい…、俺、英会話なんて出来ないぞ。
「はぁ?何、魔法の呪文みたいな事言ってんだい?
あんた、私の言葉分かるだろ?」
言われてみれば、老婆の言葉がちゃんと分かるし、会話してる。
「あっ、え~と…
あっ!」
「なんだい!急に大声出して!?」
「俺の姿見て何で驚かないんです?」
そうだ、今の俺は猫の様な姿だ。
なのにこの老婆は驚いていない。
「はっ?あんたの服は珍しいが、ここじゃあ獣人なんて珍しくないからね」
「えぇぇぇっ!
こんな姿の人が他にもいるんですかぁ!?」
思わず叫んでしまった。
ガンッ!
頭に激痛が走った。
「喧しい猫だね!
静かにしないと叩き出すよ!」
老婆の手にはフライパンが…。
「す、すんません…」
この痛さは、やっぱり夢じゃないよな。
獣人がいるって何なんだ、ここは…。
俺は老婆にいきなりこの世界に飛ばされた事を話した。
「う~ん…にわかには信じがたいけど、その服やニホンって国も聞いた事がないしねぇ…
あんた、金もないんだろ?」
「多分…」
(あったとしても、ここじゃあ円は使えないよな…)
「じゃあ、ここで働きな
二階が空いてるから好きに使って構わないよ」
老婆が天使に見えた。