第3章 紅の銘刀
「…元の世界って?
ティアナ、なんか隠してるだろ?」
「…ちょっとね」
ティアナは苦笑いだ。
俺が大の字にノビてる間、ティアナはこれまでの事をディアスに説明していた。
「違う世界?…それ本当なのか?」
「私もまだ信じられないんだけど…」
そうだよな。
元の世界で「異世界から来た」って言われても絶対信じないよな。
その時、二人の声が突然途絶えて、頭に別の声が響いた。
『おいっ小僧!いつまで寝てる気だ!』
「!…だ、誰!?」
俺は飛び起きた。
「ど、どうしたの?」
「今、小僧って誰か叫んだよな?」
俺は辺りを見回したが、ティアナとディアスしかいない。
「大丈夫?頭打った?
…でも本当に弱いのね」
ティアナは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「それ、結構傷付くんだけど…」
(おかしいなぁ…あの声は何だったんだ?)
俺は首を傾げた。
俺は何とか立ち上がったが、足がガクガクだ。
「見た目が猫人種だから強いのかと思ったんだが…
あんた、本当に異世界から来たのか?」
ディアスは疑いの目をしている。
「好きで猫になった訳じゃねぇ~し…
俺のいた世界は平和で剣なんて使わないんだよ
まったくの素人なんだから、基本的な所から教えてくれ」
俺はディアスに頭を下げた。
ディアスは少し考え込んで、持っていた木剣をティアナに渡した。