第3章 紅の銘刀
「カタナ?何の事だ?」
ディアスは首を傾げた。
「それはこっちの話し…
はぁ…」
溜め息しか出ないよ。
冒険者になる為には、剣術は必須か…。
モンスターもいるみたいだし、戦わないでってのは甘いよな。
「そうだ、魔法があるなら死んでも復活出来るのかな?」
俺はゲーム感覚で聞いてみた。
「そんな都合の良い魔法、有るわけないでしょ
回復魔法ならあるけど、死んだら終わりよ」
ティアナは呆れたように呟いた。
「だから訓練するんだよ
やるぞ!」
ディアスは木剣を構えた。
「俺は何をすれば…」
「俺との模擬戦、俺にまともな攻撃を当てたらお前の勝ちだ」
やる気満々なディアスはニヤッと笑った。
(こいつ、絶対勘違いしているぞ)
「勝ち負けって…、これ練習だよね」
俺の呟きは聞こえていない様だ。
「アニキ!手加減してあげてよ」
有り難い言葉だけど、何か傷付く…。
「ダァーッ!
もう自棄だ!やりゃあいいんだろ!」
俺は木剣を振りかざしディアスに向かって行った。
結果は語るまでもない。
気楽に生きてるフリーターの俺が剣を振り回したところで、現役騎士であるディアスに掠るはずもなく、あっさりと叩きのめされた。
「お前、本当に冒険者になる気か?
これじゃあ命が幾つ有っても足りないぜ」
「…やらなきゃ、元の世界に帰れないんだ」
俺は床に大の字となった。