第12章 必殺技と回復魔法
依頼の掲示板を見てみたが…。
「どうやら俺達だけで受けられる依頼はお使い程度か…」
俺の冒険者ランクはティアナと同じDランクに上がったとは言え、Dランクではやはり力不足は否めない。
「…でも、地道にランク上げてかないと先に進めないわよ」
ティアナの言う通りだ。
「じゃあ、この辺りをやるか」
俺達は隣街までの『お使い』の依頼を受けた。
明日中に山沿いの街『ドートス』の特産品を仕入れる依頼だ。
いつだったか港街でえらいことになったが、今度は山だから大した事はないだろう。
「ドートスってどんな町なんだ?」
ティアナに聞いてみた。
「そうねぇ~
ロメオ山の麓にある観光地ね
登山家や猟師が沢山いるわよ」
「猟師?冒険者じゃないのか?」
「冒険者登録してる人もいるけど、狩りを専門にしてる人が多いわね」
そう言えばティアナも猟師だったっけ…。
普通に考えれば、モンスターは塵になるから食べれない。
なら食べられる肉は狩りで獲るしかないよな。
まだ畜産とか養殖とかが発展してないこの世界で猟師と言う職業は絶対必要だな。
「特産品って事は肉とか山菜みたいな物か?」
「そう、あそこの特産品は山牛の肉よ!
超高級品なんだから!
すぐに行きましょ!」
まずい…ティアナの目が異常に輝いている。
俺は腕を引っ張られ、引き摺られる様に連れていかれた。
ドートスまでは馬車で小一時間、山沿いの小さな町だが確かに大勢の人が行き交っている。
半分は登山者、半分は猟師と言った風情だ。