第12章 必殺技と回復魔法
俺達はとりあえず町の酒場に入った。
「なあ、山牛ってどんな牛なんだ?」
「そうね…、家くらいの大きさで極めて獰猛な牛よ」
ティアナの言葉に俺は慌てた。
「おい!ちょっと待て!
そんな奴、俺達だけで倒せるのかよ?」
「大丈夫よ
獰猛だけどめっちゃ防御力が弱いから弓矢でも倒せるわ」
だからDランク冒険者向けなのかと納得した。
「でもよ、そんな巨大な牛をどうやって運ぶんだ?」
「この町には山牛専門の運び屋がいるのよ」
ティアナはそう言うとカウンターに向かい店員と打ち合わせを始めた。
「…そう、山牛三頭をお願いします」
(依頼は確か一頭だったはず…)
ティアナの悪い癖が出た様だ。
「さあ!猫左衛門、狩りに行くわよ!」
こうなったティアナはもう止まらない。
俺を引き摺りながら山牛がいる狩り場に向かう。
山牛は町から小一時間程歩いた山沿いに生息している。
一頭狩れば町の肉屋の一週間分の肉が手に入る。
しかも高級食材となれば…。
「何か楽して儲かる気がするんだが?」
「倒すのは簡単だし運ぶのは運び屋がいるんだけど、この牛は体内に猛毒を持ってるの…
専門の料理人じゃなきゃさばけないから、狩る猟師は少ないし肉は貴重なのよ
今回みたいに一頭引き渡しの依頼はランクも低いし報酬も安いけど、さばいた肉なら高く売れるわ」
河豚の調理と同じ様なもんだな。
「…で、誰かさばける料理人を知ってるのか?」
「すぐ側にいるじゃない」
「まさか…ローズか?」
「ローズなら魔法で一瞬にさばいちゃうわ」
(あのババア、そんな事も出来るのか!?)
みんなが恐れるはずだな。