第12章 必殺技と回復魔法
とりあえず新メニューは出来たから、しばらくは剣の訓練かな…。
今だに暁丸は使わせてくれないし、ディアスからは一本も取れてないし…、俺って向いてないのか?。
「猫左衛門、訓練行くぞぉ」
今朝もディアスとティアナが迎えにくる。
朝食の片付けを終えて、騎士団の訓練所へ向かう。
「なぁティアナ、俺って強くなったのかな?」
ティアナにこそっと聞いてみた。
「騎士団の中で兄貴とまともに打ち合えるのって副団長のクライブくらいよ…
自信持って良いんじゃない?」
(クライブって、他の団員を鍛えている厳ついオッサンだよな)
それを耳にしたディアスが…。
「じゃあ、今日はクライブと試合にしよう!」
と言い出した。
「はあ!?ちょっと待てっ!
いきなり試合って何だよ!?」
「今の実力を試すには試合が一番だからね」
ディアスは笑って答える。
「お前、職権乱用って言葉知ってるか?」
俺の言葉は軽く無視された。
(このパワハラ野郎!)
訓練所に着くと団員がディアスに敬礼する。
ディアスは団長だから当たり前だが、どう見ても半数はディアスより歳上だよな。
その中でも一番上はどう見てもクライブ副団長だ。
ゴツい身体に厳つい顔、誰が見てもこっちが団長だろ?
(…こんなのと試合するのかよ)
「今日は訓練の前にちょっと余興をしようと思う…
クライブ!猫左衛門と試合しろ!」
ディアスの言葉に団員がどよめく。
「はっ!」
クライブは短く答えると木剣を持って前に出た。