第11章 スカーレットと新作料理
それを聞いてスカーレットが…。
「それはどれくらいで出来上がりますか?」
ダットンに尋ねる。
「ああ、これから割合を変えて試し金を幾つか造ってみるが、出来上がりは明日だな
まあ、物にするにはまだ十日は掛かるだろうよ」
ダットンはぶっきらぼうに答える。
「そうですか…
出来る限り早くして頂ければ、と思います」
スカーレットは丁寧に催促する。
「そんな事言われてもなぁ、物には順序ってやつがあるんだよ」
「ダットン、そんな言い方はないでしょ!
スカーレットは依頼人なのよ!」
(ガブリ)エルがダットンを睨み付ける。
「まあまあ、二人とも熱くなるなって…
ダットンの腕ならそんなに時間は掛からないんだろ?
シャルルの故郷でみっちり鍛え上げたんだからな」
俺はダットンを煽ててみた。
「小僧、分かってるじゃねぇか!
さっきのはその辺の職人がやったらって話だ
わしに掛かりゃこんなもん…」
やっぱりこの手のジジィは煽てるに限る。
「…それで、何作るの?」
ティアナが首を傾げる。
「とりあえずナイフだ
まだ、そんなに量はないし、作ってから試さないと分からない事もあるしな
それで良いんだよな、スカーレットさんよぉ」
ダットンはスカーレットを見る。
スカーレットは黙って頷いた。
直後、ダットンに作業の邪魔だと追い出され、ローズの店に行く事になった。
道すがら…。
「スカーレット…さんは、どんな魔法が使えるんですか?」
「スカーレットで良いですよ
私は、火と風と土の属性魔法と無属性魔法が使えます」
見た目の神秘さとは違い、意外と話しやすいみたいだ。
「そもそも、属性魔法って何種類あるんです?」
「今確認出来ているのは、火、風、土、水、爆発、氷、雷、聖、闇、虫、植物です」
なんかとんでもない属性があるな。
「…虫に植物?
火と爆発や水と氷って違うんすか?」
「共通する魔法もありますが、その属性でしか使えない魔法があるんです
虫や植物を魔法で造り出すのは他の属性では出来ないレアな魔法です
もしかしたらもっとレアな属性も世界にはあるのかも知れないわね…」
魔法も奥が深いんだな。