第11章 スカーレットと新作料理
あれから数日が経ち、今日もローズの店は大繁盛。
俺はお好み焼きを作り、ティアナとシャルルは接客に大忙しだ。
「よう、小僧!
明日には粉砕機が入るから楽しみにしてな」
ダットンが声を掛けてきた。
「ジジィに魔法銀の加工なんて出来るのかい?」
「ババァに言われたかぁねぇな」
ローズとダットンにとっては、これが挨拶代わりなんだろう。
端で聞いているこっちはハラハラしてるって言うのに…。
「猫左衛門、明日からまた訓練をするぞ!」
ディアスが満面の笑顔でビールを空けている。
「マジかよ…」
『お前はまだまだ未熟だからな』
いきなり暁丸が話し掛けてきた。
(うるせぇ、少しは上達しただろ?)
『前よりは良い程度だ』
刀のくせして生意気な言い方をする。
「何ぶつぶつ言ってるんですか?
焦げちゃいますよ」
シャルルが不思議そうな顔で俺を見ていた。
「あっ!やべぇ!」
慌ててお好み焼きをひっくり返した。
「ハ~イ♪子猫ちゃん♪」
店に(ガブリ)エルが顔を見せた。
「エルか……今、手が離せねぇんだ」
この忙しい時に来るかなぁ…。
「良いわよ~終わるまでいるから♪
私にもお好み焼きちょうだい♪」
「へ~い、お好み焼き一丁!」
わざわざ仕事増やしてくれるのか…。
なんとか今日も閉店した。
「子猫ちゃんの服が出来たわよ♪」
(ガブリ)エルが包みを差し出した。
包みを開けると今までと同じ薄紫の生地で作られた着物とグレーの袴が出てきた。
「良かった!ピンクじゃなくて…」
俺はホッとした。
袖に腕を通すと、生地が違う事に気付いた。
「ん?この生地…」
「良いでしょ♪この生地は軽くて柔らかくて、それでいて凄く丈夫なのよ」
言われる様に確かに軽くて柔らかい。
「ほう、こりゃ動きやすいな」
「でしょでしょ♪」
抱き着こうとした(ガブリ)エルを、サッとかわした。