第10章 スカーレットからの依頼
帰りも、もちろん馬車に揺られて約一日…。
「なぁ、この石と魔法銀でどうなるんだ?」
俺は青い石を馬車の窓にかざして見た。
「そうねぇ、この石と魔法銀が合わされば、他の金属との加工が出来る……かも知れないわね」
(ガブリ)エルは苦笑いで答える。
しかし、この青い石でダメならまた一から考えないと行けない。
「多分ですが、大丈夫だと思います」
何故かシャルルは自信あり気に言った。
「そうだと良いけど…
闇鉄鋼とか言うのが大量に手に入れば、こんな苦労しなくて済んだのにな」
「それもダットンが言ってるだけよ」
俺のボヤキもティアナに否定された。
そんな不安と共にグランロールスに戻った。
とりあえず冒険者の役所に行き、青い石三個を渡し依頼完了となった。
「これでお祝い出来るわね」
(ガブリ)エルは報酬を俺達に見せる。
「お祝いはスカーレットの依頼が終わったらよ」
ティアナが釘を刺した。
俺達はダットンの店に寄って、意見を聞いた。
「ふ~ん、性質は闇鉄鋼に似てるが、こいつは石だからなぁ…
どうやって金属と合わせだよ」
ダットンは悩んだ。
「ダットンさん、この石を粉にして溶かした魔法銀に混ぜてみるのはどうでしょうか?」
意見を言ったのはシャルルだった。
「そうか!ウサ人種の技法だ!
すっかり忘れておったわ、ガハハハッ!」
(じいさん、それを習いに行ったんじゃないのか?)
シャルルの気転で何とかなりそうな気がしてきた。
ダットンはすぐに作業に取り掛かろうとした。
「こいつは…」
「ダットン、どうした?」
「…粉砕機、売っぱらっちまったんだ」
みんなずっこけたのは言うまでもない。