第10章 スカーレットからの依頼
みんなで協力してドラギラスを倒したが、Aランク冒険者である(ガブリ)エルの実力は確かなものだ。
俺ではまだドラギラスを倒せなかっただろう。
「こんな奴を後何匹倒せば良いんだよ?」
「そうねぇ、後五~六匹くらいで良いんじゃない?」
「マジで?…こいつら俺を狙って来るんだぜ
俺がもたねぇよ…」
俺は愚痴るが、誰も気に止めてない。
「これが問題の青い石ですね」
シャルルが塵の中から青い石を探し出した。
「この調子でさっさと終わらせちゃいましょ」
ティアナは呑気なもんだ。
その後も、俺が餌になり次々とドラギラスが現れ、半日で十二匹も倒す事が出来た。
「…もう…動けねぇ…」
とにかく奴らは俺を目掛けて襲ってくる。
シャルルの魔法で毛針は防げるが、どっちかと言うと直接攻撃の方が多い。
しかも動きが素早く、剣で受け止めるのがやっとだった。
その度に弾き飛ばされ、もうボロ雑巾の様になった。
「その服、もうダメね
どこかで作ってもらう?」
ティアナが苦笑いしている。
考えてみれば、こっちに来た時のまま和服を着ていた。
「その変わった服は動き難くないのですか?」
シャルルが首を傾げる。
着物に袴姿って思ったより動き易く、何の疑問も感じていなかったが、こっちでは和服なんて売ってないよな。
日本人って事を忘れない為にも、出来れば和服のままでいたいと思った。
「帰ったら仕立て屋さんを紹介してあげるわ
私のこの美しい服も作ってもらってるのよ♪」
(ガブリ)エルがくるっと回ってウインクする。
(まさかと思うが、ピンクの和服にはならないよな…)
ちょっと心配だ。
とりあえず、必要な数の青い石を手に入れたから、グランロールスに戻ることにした。