第10章 スカーレットからの依頼
森に住むモンスターは滅多な事では森の外に出て来ない。
「モンスターにも縄張りってあるのか?」
「縄張りがない訳じゃないけどね…」
(ガブリ)エルが意味深に答えた。
「ん?なんだそりゃあ?」
俺が首を傾げるとティアナが答えた。
「街や主要の道には強力な結界がはってあるのよ
モンスターはその結界に入る事は出来ないの…
たまに入り込む奴もいるけどね」
「…そうなんだ
だから、騎士団は暇なんだな」
ディアスの顔が浮かんだ。
馬車に揺られて森の近くの村に着いたのは、日も暮れてすっかり夜になっていた。
「今日は宿に泊まって明日の朝から狩りに出るわよ
私は子猫ちゃんと一緒の部屋ね♪」
「ちょっと待てぇ!何でそうなる!」
俺は全力で阻止しないと生きて帰れないと思った。
「あら?恥ずかしがる事ないのに…」
「誰が恥ずかしがってるっ!」
油断も隙もあったもんじゃないな。
しかし、宿はなんと馬小屋の片隅…。
「マジで…?これじゃあ、みんな同じ部屋だろ?」
(ゲームじゃあ馬小屋は無料の宿だけど、本当に泊まる事になるとは…)
「そうとも言うわね」
(ガブリ)エルは苦笑いで答えた。
この村には宿がなく、いろいろ掛け合ってやっとこの馬小屋を借りる事が出来たのだ。
雨風しのげるだけ、ましと考えた方が良いのだろう。
とにかくみんなで雑魚寝する事となった。
「なんか修学旅行みたいだな…」
「しゅ、修学旅行?何それ?」
(しまった…ここでは…)
「また元の世界の言葉?
二人とも寝ちゃったから良いけど、言葉には気を付けてね」
「早っ!」
(ガブリ)エルとシャルルは瞬時に寝てしまって、起きていたのはティアナだけで助かった。