第10章 スカーレットからの依頼
「私は何も出来ないですね…」
シャルルは耳を倒し、しょげていた。
「攻撃じゃなく、回復とか防御魔法は出来ないのか?」
魔法攻撃が効かない相手でも、魔法使いがいるのといないのとじゃ雲泥の差だ。
「防御魔法なら少し出来ますが、弓矢みたいに飛んで来る攻撃を防ぐだけです」
「あら、それは心強いわ
こいつはハリネズミみたいに全身が針状の毛で覆われてるのよ
その針の毛を飛ばしてくるから、シャルルちゃんが防いでくれると助かるわ」
(ガブリ)エルの説明にシャルルは耳をピンと立てやる気になったようだ。
「それってハリネズミのモンスターじゃないのか?」
「残念、猫のモンスターよ
子猫ちゃんの仲間みたいなもんね」
「俺はモンスターじゃねぇよ!」
(今度の相手は猫のモンスターか…)
関係ないとは言え、正直、気が乗らなくなった。
「その毛針が魔法を弾くの?」
ティアナが質問する。
「額に宝石みたいなのがあって、それが魔法を弾くのよ
それを集めるんだけどね」
「じゃあ、そこ以外に魔法を射てばいいだろ?」
俺ならそうする。
「どこを狙ってもその宝石に吸い寄せられるのよね
で、弾かれた魔法でやられちゃうの…」
(ガブリ)エルは肩をすくめる。
「自分の魔法でやられるなんて洒落にならねぇな」
「魔法で攻撃をしなければ大丈夫♪」
(ガブリ)エルはこの依頼を受け付けに渡した。
「…エルさんはAランクなので、連れて行ける下位ランクの冒険者は三人までですが…」
本来ならBランク冒険者向けである依頼は、俺達には受けられない。
しかし、上位ランクの冒険者が受ける場合、下位ランクの冒険者を何人か連れて行けるシステムになっている。