第10章 スカーレットからの依頼
(ガブリ)エルを先頭に町中へ向かった。
「どこに行く気だ?」
「うふふっ…良いと・こ・ろ♪」
(やっぱりこいつぶっ飛ばしてぇ)
「エル!いい加減にしなさい!」
ティアナの肘鉄が脇腹に突き刺さった。
「うっ!…ごめん…なさい」
さすがの(ガブリ)エルも効いた様だ。
「…ティアナって、強いんですね」
「あぁ、たまに凄くね…」
シャルルがちょっと引いていた。
(ガブリ)エルが向かったのは、冒険者の役所だった。
窓口に行くと冒険者のリングを見せて…。
「Aランクのエルよ」
「あぁガブリエルさんですね」
「エルよっ!エッ!ルッ!」
(どうしてもガブリエルと呼ばれたくないんだな…)
「はぁ…ではエルさん、今日はどの依頼ですか?」
Bランク以上の依頼は窓口で直接受ける事になっている。
係員が依頼書の束を(ガブリ)エルに渡した。
「う~んと…え~と…」
(こいつは一々ウザいな…)
「エルさんは何を探しているんですか?」
「何かしらね?」
シャルルとティアナがこそこそと話している。
俺もその束を覗いてみたが、とても俺みたいな初心者が関わってはならない様な依頼ばかりだった。
「あったわ♪これこれ♪」
(ガブリ)エルが依頼書の一枚を選んだ。
「それは何ですか?」
シャルルが興味津々で覗いた。
「Bランクなんだけどね…
ダットンとの話しで思い出したのよ、これを!」
その依頼書には、あるモンスターを倒してアイテムを拾ってくるという依頼だった。
「Bランクのモンスターなんて、エルがいたって俺達じゃ無理だろ?」
俺は端から逃げ腰だ。