第6章 恋の方程式
『……うん。ありがと、クロ』
黒尾の優しさに心の中で感謝して、なまえは小さく頷く。
せっかくみんなと一緒に遊びに行くのに、一人暗い顔をしているなんてナンセンスだ。気持ちを切り替えるように、両手で両頬をぱちんと叩いた。
『よし、遊ぶ!遊びつくす!!クロの金で!!』
「おまえ」
にーっといたずらに笑うなまえに、仕方ないとでもいうようにほくそ笑んでから、黒尾はそのままくしゃくしゃと頭を撫でた。
「まぁいいや。元気がないお前は気持ちわりぃから」
『言い方!』
「ほら、早く着替えてこい!お前いつもおっせぇんだから」
『はーい!』
ぱたぱたと駆けて行く幼馴染の華奢な背中を見送ってから、黒尾はニッと何かを企むかのように微笑んだのだった。