第4章 交錯する想い
「………はー…」
黒尾は及川のことを思い出しながら、大きくため息を吐いた。
「おまえさぁ、及川と他人を一緒にすんのやめろよ。あいつは特例中の特例だから」
『クロってばさっきからそればっか。もーいいよ、慰められると余計悲しくなる』
そういって、ぷいっと顔を反らしたなまえを見て、黒尾は悟った。
「(来たー・・・木兎ならぬ、なまえしょぼくれモード・・・)」
この一時だけは、梟谷の面々の気持ちがとてもよくわかる。
しかし、木兎は単純なだけずっとましである。女というのは面倒なもので、ちょっとやそっとのことでは全然立ち直ってくれないのだ。
「まぁまぁなまえ、そう落ち込むなって。俺が赤葦に聞いて――」
『やだ!!やめて!!そういうのいい!!これ以上みじめになるのしんどい!!もー諦める!!寝る!!おやすみ!!』
捲し立てるようにそういって、なまえは廊下を駆けて行ってしまった。
「…諦めらんないクセに」
ったく世話のかかる、と独り言のようにつぶやいて、黒尾は会議室へと歩みを進めたのだった。