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君という魔法【ハイキュー‼︎】

第1章 きみを見つけた日






―――彼女との出会いは、一年前の春。


推薦で梟谷学園に入学し、赤葦がバレー部に所属してから初めての練習試合の相手が、同グループである音駒高校だった。
その当日、これから練習試合だというのにどうにも浮足立った先輩たちの話に聞き耳を立てていれば、どうやら相手校である音駒に、一年生の美女マネージャーが入ったとのこと。どこで仕入れたのか、そのマネージャーの名前まで飛び交っている。話によると、今日は学校の都合で彼女だけ少し到着が遅れるらしく、まだ体育館には着いていないらしい。
早く見たい、だの写メを撮る、だのと何やら楽しそうにはしゃいでいる先輩方に、赤葦は少し不安を覚えた。
あくまで今日は、強豪校同士のバレーの練習試合である。そりゃ、可愛い女の子が来るなんて、思春期の男子高校生たちからすれば一大事なのだろうけど。赤葦にはその感情がいまいち理解できなかった。
今までただただバレーボール一色の忙しない学校生活を送ってきたためか、興味がないわけではないけれど、女性に対して好きだの嫌いだの、そんな感情すら持った事のない人間なのだから、仕方ない。浮足立った先輩方の話に適当な相槌を打ちながら、てきぱきと着替えを終えた赤葦は、先輩方より一足早く体育館へと向かった。

第一体育館では、すでに到着した音駒高校の面々がアップを始めていた。自分もアップを始めようと体育館に入れば、監督に捕まりまだ着替えている先輩達を呼んでくるよう言い渡されてしまった。
面倒な事を押し付けられたと思いながらも快く返事をし、また来た道を引き返す。そして、校舎の玄関口を通りかかった、ときだった。

音駒高校の赤いジャージに身を包んだ女の子が、視界に入る。

そして、目が合った瞬間。ああ、この人がチームメイトが騒いでいた彼女だ、と一瞬で理解した。
透き通ってしまいそうな真っ白な肌に、胸元まである淡い栗色の艶やかな髪がさらりと揺れる。見つめれば吸い込まれてしまいそうな大きな瞳に、それを縁取る長い睫毛、すっと通った鼻筋。整ったパーツがその小さな顔に見事に配置されており、捲ったジャージから覗くすらりと伸びた手足は、陶器のように滑らかだ。

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