第4章 交錯する想い
『大した話じゃないって?その…何関係のお話…?』
なんだかひどく焦っているように見える。彼女は人の話に首を突っ込んでくるタイプではないので、どうしてこうも深く追求してくるのか不思議に思った。
「…バレーの話だけど」
と、適当に言ってみた。本当のことなんて、言えるわけがないので。
すると彼女は、目に見えるように安心した表情になって。
『なんだぁ…よかった』
・・・よかった、ってなんだ。自分の悪口を言われているとでも思ったのだろうか。
『あ、ごめんねしつこく聞いて!じゃあ、また明日ね』
「ああ…いや…うん、また明日――」
赤葦の返事を最後まで聞かずに、勢いよく席を立った彼女は、小走りで食堂を出て行ってしまった。
まぁ、あんなにこそこそ話をしていたら、誰だって気になるだろうな、と自分の中で勝手に解釈して、赤葦は残っていた食事をかきこんでから”ごちそうさま”とつぶやいた。