第3章 幻覚ヒーロー
そして・・・
”フクロウvsネコ”と描かれたホワイトボード。
フクロウチームには、木兎・赤葦・日向の3人。そしてネコチームには、黒尾・月島・なまえの3人、となった。
平均身長的にはバランスの良いチームではあるが、月島は驚きを隠せない様子だ。何せ、高校生の男子(しかもかなりの強者揃い)の中に…一人、大層可憐な女子がいるのである。驚くのもムリはない。
「あの…本当にやるんですか」
月島が不安げに問えば、黒尾たちはケロッとしながら頷いている。
「………」
「まぁまぁ、そんな心配すんなって。こいつ、なかなかやるからさ」
言いながら黒尾はなまえの頭をぽんぽんと叩いた。
『月島君、よろしくね!』
いつもと変わらない笑顔でそう言われても、月島は苦笑いを返すことしかできない。
Tシャツからすらりと伸びる細い腕を見ながら、月島は思う。万が一、木兎のスパイクが掠りでもすれば、いとも簡単に折れてしまいそうだ。
「………ハイ」
苦笑しながらそう答える。一方日向は、東京の強豪校のセッターとエースと同じチームということにただただ感動して興奮している様子である。月島が軽蔑の視線を送っていれば、こちらに気付いた日向が目をぱちくりさせながら気付いたように口を開いた。
「エエっ!?なまえさんも試合に出るんですか!?」
「(遅っ…)」
心の中で盛大に突っ込みをいれた月島を余所に、黒尾が続く。
「ま、そっちにはひよっこのチビちゃんがいるハンデってことで」
そういってにやり、と妖しい笑みを浮かべた黒尾に、赤葦がぼそりと突っ込んだ。
「いや、全然ハンデになってないですけど」
赤葦の言葉に、日向がハテナを浮かべていれば、黒尾の掛け声で試合が始まった。