第2章 太陽と月の出
五人で食堂までの道程を歩く。先頭の木兎と黒尾は相変わらずふざけあっていて、後ろに続く三人は無言のまま、その二人の背中に冷ややかな視線を送っていた。
『――ねぇ、月島君もさ、これから自主練おいでよ!』
三人の沈黙を破ったのはなまえだった。
「エ…」
『いいじゃんいいじゃん、ね、赤葦』
「ああ、うん。俺もいいと思う」
赤葦の素っ気無い返事に、月島は眉を顰めた。そもそも、何故この四人は毎日一緒に自主練をしているのだろう。普通、自主練なんかは同じチームで、その上割と仲の良いメンバーでやるものではないのだろうか。
「あの…なんでこのメンバーで自主練してるんですか?普通、同じチーム内でやるものでは?」
『あ、確かにうちらだけだね、他校で自主練してるの』
「ですよね。それに、あんまり仲が良さそうにも見えないんですけど」
月島の言葉に、なまえはあははと笑った。赤葦は変わらず無表情である。
『あはは、確かにー!』
「確かにって…」
月島はますますわからなくなる。
「…まぁ、悪くはないよ。この四人で自主練するようになって、なんだかんだもう半年以上経つしね」
赤葦がぼそりと続く。
「あ、そうなんですか?」
「うん。俺は一年の頃から木兎さんに常に付き合わされてたし、みょうじと黒尾さんは幼馴染だしね。木兎さんが黒尾さんにブロックの練習に付き合ってくれって、言ったのがきっかけだったかな」
『そうそう』
「え?幼馴染?」
『うん!私と、クロと、あと研磨、わかる?うち(音駒)のセッター!3人幼馴染なの』
あまり接点のなさそうな3人であるが故、少し意外だった。
「…なんか意外ですネ」
『そう?ちっちゃい頃からずっと一緒だよ、家も隣同士3つ並んでるし』
なんだかあの二人が少し羨ましく思えるのは、どうか気のせいであってほしいと月島は心に思う。
『梟谷グループの中でも、梟谷と音駒って同じ東京で高校も近いから、合宿とか練習試合も特に多くて、なんだかんだ二週間に一度は顔合わせてる感じなんだ。だから自然に仲良くなったというか、ね。クロと木兎さんは見ての通りあんな感じだし、楽しいよ!だから月島君も、明日からおいでよ』