第2章 太陽と月の出
それからしばらく、他愛もない話で盛り上がっていれば月島は背後に悪寒を感じた。恐る恐る振り返ってみれば、遠目からメラメラと怒りの焔に包まれながらこちらを直視している山本と西谷と田中(&その他大勢)がいる。
「…アナタのファンの方々に視線だけで殺されそうなので、僕そろそろ戻りますね」
『え?もう行っちゃうの?』
なまえがハテナマークを浮かべていれば、なまえの手にのっていた西瓜の皮と皿を取り月島は立ち上がった。
『あ、ゴミは捨てておくからいいよ――』
「いえ、ご馳走様でした………楽しかったです」
ぼそり、とそういった月島に、なまえは満面の笑顔を向ける。
『私も楽しかった!またお話しようね、月島君!』
「………ハイ」
きらきらとしたその笑顔に、頬が熱い気がするのは、きっと夏のせい。そう自分に言い聞かせて、月島はくるりと彼女に背を向けた。