第2章 太陽と月の出
「もういっぽォーん!!」
木兎の大きな掛け声が、第3体育館に響く。
なまえが赤葦に球を出し、赤葦がトスをあげる。そして、木兎が勢いよくスパイクを決める。月島のブロックは、次々とあっけなく抜かれてしまう。
「っしゃあ!」
「一枚ブロックに勝っただけっスよ」
「うっせーな赤葦!!」
そんな様子を見ていたなまえは、肘でこつんと黒尾を小突いた。
「…お。よし。んじゃ、2枚ならどーだ」
「2枚ブロック上等ォ!」
リエーフは、地面に倒れている。
「行くぜぇ!!」
「メガネ君はストレートをきっちり締めとけよ!」
「…あ、ハイ」
そして、木兎のスパイクは見事黒尾に止められる。
「ウェーイ」
「くっそ!!うーん、やっぱメガネ君さ、読みはいいんだけどこう…弱々しいんだよな、ブロックが!腕とかぽっきり折れそうで心配になる。ガッ!ととめないと!ガッ!と」
「……僕、まだ若くて発展途上なんですよ、筋力も身長もまだまだこれからなんで!」
「むっ!!」
そんな月島の様子を見て居た黒尾が口を開く。
「悠長なこと言ってると、あのチビちゃんにいいトコ全部持ってかれちゃうんじゃねーの?同じポジションだろー」
黒尾の言葉に、月島はしん、と静かになった。
「…それは仕方ないんじゃないですかね~日向と僕じゃ元の才能が違いますからね~~」
笑顔でそういう月島に、一同もしん、と静まる。
「………」
――「あー!またスパイク練習ですかー!?オレブロックやります!?やります!?」
「おいリエーフ!転がってんじゃねーよ、レシーブ!」
「ゲェッ、夜久さん!!」
「ゲッってなんだよ!」
音駒の面々が続々と現れ、月島はくるりと背を向けた。
「じゃあ僕お役御免ぽいんで失礼します」
「あっオイ」
黒尾の叫びも虚しく、月島はすたすたと体育館を出て行ってしまった。
「なーんか…地雷踏んだんじゃないスか、黒尾さん…」
赤葦の言葉に黒尾がギクリとする。