第2章 太陽と月の出
月島が校舎への道を歩いていれば、急に声が掛かる。
「――あ!ちょっとそこの!烏野の!メガネの!」
突然掛かった声の方を向いてみれば、第三体育館の入り口に音駒の主将である黒尾と、梟谷の主将である木兎が立っていた。
「ちょっとブロック跳んでくんない?」
黒尾が言いながら手招きしている。月島は眉を潜め、すぐに笑顔を作りながら口を開いた。
「あっ僕もうあがるので。失礼しまーす」
「「何ッッ!?!?」」
そういって行こうとする月島に、木兎が続く。
「ブロックなしでスパイク練習しても意味ないんだよー頼むよー」
「…なんで僕なんですか?梟谷の人は――」
月島の問いに、木兎の後ろからすっと現れた梟谷の副主将である赤葦が答える。
「木兎さんのスパイク練、際限ないからみんな早々に逃げるんだよ」
続いて、赤葦の後ろからひょこっと顔を出したのは、音駒のマネージャーであるなまえだ。
『木兎さんのスパイク、すごいから練習になるよ!』
「俺はこいつ鍛えるのに忙しいんだよねぇ」
黒尾が倒れているリエーフを指差しながら言う。
「だからっ~~俺がブロック跳びますってばぁ~~」
「うるせぇ!!音駒でレギュラー入ってたかったらまずそれなりのレシーブ力つけろぉ!!」
「うあ~…なまえさぁ~ん…」
『今のはクロが正しい』
「ううう…」
怪訝な顔をしている月島に、黒尾が再び付け足す。
「見えないかもしんないけど。コイツ全国で五本の指に入るくらいのスパイカーだから。さっきなまえが言ってたとおり練習になると思うよ」
「フフーン!」
「…3本の指にはギリギリ入れないですかね…」
「ドンマイ」
「オトすくらいならアゲないでください!!」
黒尾は怪しい笑みを浮かべながら月島をぎろりとみる。
「それに君、MBならもう少しブロックの練習したほうがいいんじゃない?」
瞬間、ムカチン、と月島のスイッチが入ったようだ。
「………」
黙って第三体育館に入っていく月島を見ながら、木兎は黒尾にグッと親指を立てた。