第1章 きみを見つけた日
『犬岡!お疲れさま!あ、君!!烏野の一年の!』
「…ちょっとなまえ…ノックくらいしなよ…ここ一応、男子の部屋なんだからさ…」
『え、だってウチ(音駒)の男子でしょ?関係ないない』
そういってなまえはにっこにこと日向の顔を見ている。
「…(ど、どうしよう…美女に見つめられている…!)」
目の前にいる見たことのないような美女に、日向はがちがちに固まっている。
『ちょっと研磨、早く紹介してよ!約束したじゃん!』
「…なんで俺が…めんどくさいから勝手にやってよ…」
研磨はいつも通りゲームに夢中である。
『もう…。えっと、日向君!私、音駒のマネージャーのみょうじなまえです!研磨から話を聞いてて、ずっと会いたかったんだ!よろしくね!』
そういってなまえはにこっと日向に笑顔を向けた。
「!!!!!!」
なまえの眩しすぎる笑顔に、日向はただただ目を見開き固まっている。
「あ、え、えっと!!よ、よろしくお願いしまひゅ!!(か、噛んだ!!)」
『よろしく~~!!』
なまえは日向の手をぎゅっと握ると、ぶんぶんと上下に振り回した。
「…やめなよ、初対面で手握るの…距離近いし」
『なんでー!?研磨の友達でしょ?ならいいじゃん!』
「…はあ…」
研磨は呆れて溜息を吐いている。
「ね、音駒はみんな仲良いんですね…!!い、いいなぁ…」
「なまえさんと研磨さんは特別だよ!」
「え?特別って…ま、まさか!?!?」
犬岡の言葉に、日向の頭にはもくもくと、研磨となまえの如何わしい映像が浮かび上がる。
「ちょっと、翔陽。今翔陽の想像しているようなことは一切ないから。絶対ありえないから」
日向の想像はあっけなく研磨にぴしゃりと遮られる。
『幼馴染なの。それと、クロも。主将の、ヘンテコな黒髪のヤツ』
なまえは黒尾の髪型をジェスチャーで真似てみせた。
「お、幼馴染!?!?」
「翔陽、うるさい…」
「だ、だって…!!こんな美女と幼馴染とか羨ましすぎるだろ!!!」
「…大げさ…」
『日向くん優しい!!研磨とは大違い!!』
そういってなまえは再び日向の手をぎゅううと握った。