第7章 36℃
クロは引っ越してくる前、バレーボールのチームに入っていたらしい。
バレーなんてやったこともない素人二人とやったってつまんないでしょ、と言えば、クロは思い切り首を横に振って見せた。
”「つまんなくない!!覚えるの早い!!頭いい!!二人とも筋が言い!!」”
なんて、必死な顔で言うものだから。私は思わず、その気になってしまって。ちょっとバレーやってみたいな、なんて思い始めて。
こっちでもチーム探せばあるんじゃない?と問う研磨に、クロは黙ってしまった。そりゃ、新しいとこはヤダよね、なんて心の中で共感していれば、クロは勇気を振り絞ったような顔で、口を開いた。
”「……なあ、二人とも土曜日空いてる!?」”
”「『!?』」”
あまりに必死なクロの顔に、私と研磨は、思わずこくりと頷いたのだった。