第6章 恋の方程式
寂しさを表に出さないようにとなまえが口を開けば。
『あの、今日は本当に、』
「?家まで送るよ」
『え!?だって、家反対方向だよ!?』
「反対でもないでしょ。結局電車乗るんだから、同じだよ」
『………』
「もう暗くなるし、女の子一人じゃ危ないでしょ」
淡々とそんなことを言う赤葦に、どこまでもかなわないなぁ、と思ってしまう。
結局お言葉に甘えて、送ってもらうことになってしまった。同じ電車に乗って、同じ駅で降りて。なんだか、駅から家までの道のりを歩く隣に赤葦がいることが今でも夢みたいだった。
『駅まででよかったのに…さすがに悪いよ』
「どっちも変わらないから、気にしないで」
『………』
――赤葦は、優しい。
でも、その優しさが、今は少しだけ、辛かった。
だって。
余計に諦められなくなってしまうから。
『……ねぇ、赤葦はさ』