第6章 恋の方程式
『…あの夜はごめんね。ちょっと取り乱しちゃって…でも、赤葦のせいじゃないんだよ、本当に!だから、気にしないで!ごめんね』
なんとか笑顔を作って、嘘をついた。
これ以上優しい彼を、困らせて悩ませるわけにはいかない。
「……じゃあ、俺にできることがあれば、言って。できることなら、力になるから」
『…うん!ありがとう…。あ、ほらパンケーキ食べよ!』
ああ、ごめんと慌ててスプーンとフォークを手渡してくれる赤葦に、思わず笑みが零れる。
たとえ、この人に、好きな人がいても。
まだ、あなたを好きでいても――いいだろうか。
そんなことを、思いながら。