第6章 恋の方程式
『あの…っ、えっ、いいの!?だって、練習とか…』
「大丈夫。今日は自主練の日だったし、元々早めに切り上げるつもりだったから」
『でも…そのお店すごい並ぶって噂だし、女の子だらけだろうし、しかも今日暑いのに…』
「はは、そんなこと気にしてるの?」
そういって爽やかに微笑んだ赤葦に、なまえはぱちぱちと目を瞬かせた。
――なんだろう、この爽やかなオーラは。これは、クロと研磨からは微塵も感じられない、赤葦が放つ謎のオーラだ。
『……よ、よろしくお願いします』
「うん。こちらこそ今日はよろしく」
空から降ってきたような爽やかな声に、耳まで癒されるようだった。なまえは雑念を振り払うようにふるふると頭を左右に降ってから、黒尾に心の中で盛大に感謝したのだった。