第6章 恋の方程式
「だーかーら。何度も言ったろ。お前はなんも悪くないの。なまえと研磨と一緒にいる事含めて俺なんだからさー。俺の全部を好きになってくれる子じゃなきゃ俺がイヤだね」
『でも、私がもっとちゃんと気を使えてれば、別れなくて済んだかもしれないのに』
「…まぁ。なんだ。うん、おまえが可愛すぎるのが悪い」
そういって、なまえの両頬をむにっとつまんでみせた。
『んむっ』
「はは、おまえちょっと太ったんじゃね!」
『マジ!?』
冗談を言ってみせれば、大きく目を見開いて慌てふためく幼馴染が可愛くて、思わず口元が緩む。
「いただきー」
隙ありとでもいうようになまえの食べかけのクレープにかじりつけば、もー!とふてくされる彼女の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「なぁなまえ、この後ちょっと付き合ってくんない?」
『え?どこ行くの?』
「行ってからのお楽しみってコトで。あ、あいつらには内緒なー」
何やらまだ言い合っている夜久と山本を指差してから、黒尾はにっと笑ったのだった。