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君という魔法【ハイキュー‼︎】

第1章 きみを見つけた日



* * *


『ね、赤葦、聞いてる?』


ぼーっと一年前を思い出していた赤葦の視界に、背伸びをしてこちらを一生懸命覗き込もうとしているなまえの姿が映った。その姿がなんだか可愛くて、赤葦はくすりと笑ってしまう。


『何、急に笑ってんの!?私の顔になにかついてる!?』

「いや、なにも。みょうじがおかしくて」

『え、私の何がおかしいの!?おかしいのは赤葦だよさっきからぼーっとして、そしたらいきなり笑い出してさ』


小さな口を尖らせブツブツと文句を言う姿も可愛いなぁなんてしみじみ思ってしまう辺り、赤葦ももう自分の感情を自覚している。

彼女と出会ったのは一年前だが、こんなに仲良く会話ができるようになるまでは随分と時間が掛かった気がした。連絡先をやっとの思いで交換できたのも、本当につい最近のことである。今では遠征の度にこうしてなまえから声をかけてくれるし、毎度自主練まで付き合ってくれるようになった(もれなく、うるさい先輩二人付きだが)。


「おーい!赤葦ーー!!」


背後から聞こえる、聞き慣れすぎていよいよ耳にタコができそうな大きな声に、思わず「げっ」と口に出してしまいそうな気持ちを静かに飲み込み、赤葦はその声の主の名を控えめに呼んだ。


「…木兎さん」

「あかーしばっかりズルイ!俺もなまえちゃんと話したい!抜け駆けハンターイ」


子供のような我儘を言いながら登場したのは、梟谷の主将である木兎光太郎だ。これで全国五本の指に入るスタースパイカーなのだから、人は見た目に寄らないという言葉をまさに体現したような人物である。


『木兎さん!おはようございます!』

「へいへーい!なまえちゃんおはよーう!」

『木兎さん今日も絶好調ですね。木兎さんのきれっきれスパイク見るの楽しみだなぁ』

「何っ!?なまえちゃんが楽しみにしてくれてるとあらばこれはいつも以上に打ちまくるしかない!なぁ、あかーし!スッゲー燃えてきた!!」


テンションの上がりまくった木兎に、赤葦は「そうですね」と適当に返してしばらくなまえと木兎のやりとりを横で聞いていた。この上がり下がりの激しい木兎のテンションを、なまえはいとも簡単にすいすいとあげてしまうのだから、赤葦たち梟谷メンバーからすればありがたいことこの上ない。
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