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【鬼滅の刃】短編夢小説

第5章 手に負えない (我妻善逸)


「急いでいますのでさようなら」
「待ってーっ!?置いてかないでーっ!!!」
着物の袖を握り締めた善逸さんは絶対に離さないと喚き始める。涙と鼻水を撒き散らして「鬼が怖いの!!」「死にたくない!!」と泣き喚く。地獄のような鍛錬に耐えて鍛え抜かれ選び抜かれた鬼殺隊士としての身体能力を持っているはずなのだが到底そうは見えない。
「死ぬ」が口癖なのか最終選別を潜り抜けた直後ですら「ここで生き残っても結局死ぬわ」と陰気な発言を繰り返していた事を思い出す。任務に対しても当然のことながら及び腰で人喰い鬼を前にすれば全速力で逃げ出すのでは無いだろうかと頭を痛める。
「一緒に行こうよ!!ちゃ・・・」
「嫌です」
露骨な蔑みの目で見下すと善逸さんは着物の袖を握り締めながら泣き始める。鼓膜が破れる音量に慌てて耳を塞ぐ。私では手に負えなく鎹鴉に助けを求めた。
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